旭化成 社長の涙の謝罪会見は、大変痛々しく、当事者でなくても、これからどうなってしまうのかと不安で一杯になりました。
以前大問題になった構造計算の偽装もそうでしたが、今回の杭のデータの改竄についても、建築施工に携わる者の多くにとって、思ってもみない落とし穴でした。
今回のような施工後の報告書については、当事者間の信頼関係と性善説を前提とした日本人特有の曖昧な考え方が根底にあることも相俟り、杭工事以外にも数多く存在してきました。
今までこのような事故が発生するとすれば、施工能力が極端に劣るもののミスか悪意からの犯罪よりしか考えられなかったからです。
問題のマンションは、4棟が1群となっており、全てを建て替えると発表されましたが、大規模マンションであり解体工事には莫大な量の廃棄物が伴い、大変な数の施工者(職人たち)が何年もかかって作り直さなければなりません。施工に携わった職人たちも、やりきれない気持ちで一杯だと思います。
仕事が増えて喜んでいる人間は一人もいないでしょう。
このような問題(犯罪)が発生すると、施工現場は行政の手続きや法律の変更に悩まされ、それ以上に風評被害は社会全体に充満し、建設業界の信頼は著しく蝕まれていくこととなります。
私たちの、これから行わなければいけないことは唯一つ高い職業倫理を追求し、顧客満足の向上を図り、信頼回復に邁進することです。